κの褒賞
梓芭さんのから少し拾いつつ。

「…………あ、」
悟はぼんやりと盤面を眺めていたが、何かを察知した様子で部屋を後にする。
悟の知能はそれほど高くはない、だがしかし、悟には第六感のようなものが強く備わっていた。
それは涅槃本人を凌駕するものであったが、涅槃本人は気付いてはいない。
悟は監視カメラの映像記録を開く。
一つ写っていない。
基本的にNECTERの監視カメラは丈夫であり、ちょっとした埃等で壊れるような代物ではない。
つまりこれは。
「お客さんか」
だらりと垂れた髪をかき揚げる。
それまでに残されていた映像を見るに、どうやら研究員のような服装の奴らしい。
さすがに変装なしにお邪魔してくるような奴は居ないだろうと悟は笑う。
懐中電話を持たない彼は、室内に置いてある備え付けの固定電話を使う。
「もしもし荒神さん?ちょっと見てほしいデータあるんだけど来てくれる?お客さんなんだ」
返答はなく、すぐにぶちりと切られた。
そもそもそういう人物なのだからしょうがないだろう。
古式が来るのを待つ間、悟はにやにやと笑っていた。
主人よりも先に得た情報に血が沸き上がっていたのはたしかだ。

続く
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