ψ考えるに
「はい、はい、手配はすんでるよ」
適当に呟きながら、楽はにこにこと笑った。
近々届く荷物は結構な大きさの代物であり、どうしても荷物を運ぶ為の足が必要なのである。
楽は運転は出来ないのだが、忙しい他の仲間の代わりにトラックを数台手配したのだ。
勿論、密輸品を運ぶ等とばらすようなことはなく、機材を運搬するためだと嘘の報告をしておいた。
取り敢えずの駒は揃った。
楽はそこまで宜しくはない頭で考えたことをぶつくさと呟いていたが、飽きたらしく、すっかり疲れて白衣を脱ぐ。
乱雑に結んだサイドテールすら邪魔になったらしく、適当にほどき、楽は脱ぎ捨てた白衣を雑に腰の辺りに巻き付ける。
にやにやとした笑い顔は常日頃からのものだが、今回は悪巧みに浮かれて更ににやりと笑っている。
こういった胸が踊ることは久々だ。
いや、久々であるつもりだが、本来ならばはじめてである。
なにせ、彼には三年程の記憶しかない。
元々作られたのが三年前であり、成長段階を大幅にすっ飛ばしているのだが、その事をあまり知覚していない程度には馬鹿なのである。
試験管から生まれ、過剰な速度で細胞分裂を進めた結果、楽は知能、情緒面にやや支障を来している。
涅槃はそれを敢えて修正するようなこともなく、馬鹿には馬鹿なりの使い道があるだろうと、適当に扱ってきている。
自分が他よりも雑に扱われていることに楽は気付いてはいない。
元より、楽は適当に生きて、適当に生を全うしたい、その程度のことしか考えていないからだ。
だらだらと歩いていく楽は、来るべき日に備えている。
お祭りまであと数日。
これから何が出来るか、思考することはとっくに放棄していた。

続く
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