「もしもし拝島憂、リストアップ出来ました、受け取り」
ぶつん。
助詞が欠落しているせいで意味を解するのに若干のタイムラグが生じるが、粗方の意味は把握できた。
カメラルームに歩いて来たが、どうにも気が進まない。
ドアを開けると、極彩色の着物を着こんだ少女が座っている。
少女は目をぎょろつかせながらカメラから送信される映像を睨み付けている。
時折紙に映像から得た情報を書き付けており、忙しなく彼女の手は動き続けている。
生体の反応でも検知したのか、ほとんど音も立てて居ないのに紙の一部をこちらに向けて放ってきた。
「挙動おかしい研究員、データ存在しない研究員、まとめました」
そこそこにはっきりした声でそう宣言してくる。
どんなものかと見てみれば、そういえば見覚えがない研究員だとか、穏健派の一部だったりの似顔絵が描いてある。
「で、どうしろと？」
いまだに此方を向かずに一心不乱に作業を続ける少女に憂は問いかける。
「当たり前です。無力化です」
機械的に彼女は答える。
「あー、はいはい、了解了解」
紙を見て、なんとか数人は把握した。
見つけ次第薬品でもかけておこう。
憂はやる気なさげにカメラルームを後にした。

続く