極彩色と無彩色の合間で
「はい、はい、本職、記憶しました」
昼下がりの気だるさを増長させるかのように、少女の機械的な声は今日も同じ言葉を吐き出す。
懐中電話を閉じてから、鮮やかな青の髪を持つ、極彩色の少女は此方を見やった。
嫌に特徴的な赤地に黄色の瞳孔の目がまっすぐ射抜くかのように視線を向けてくる。
「務め、終わりました。本職、帰らせて頂きます」
ぺこりと、からくり人形の動きで少女はお辞儀をして、少女はその場を去ろうとする。
「ところでぇ、古式さんはぁ……東京についてどう考えますぅ?」
自然と吐き出すように言葉を垂れ流す向かいの男は、少女とは対照的に色というものがない。
少女はかたんと音を立てて止まり、男の方へ向き直る。
その動作はどこまでも機械的で、生きた人間であるような要素が感じられない。
「何も考えません。本職、データベースです。管理です。管理、公平でなくてはなりません」
表情のない目に睨み付けられるような、そんな奇妙な感覚がしたが、少女の目には灰色の男だけが写っていた。
「そうですかぁ……ご協力いただきたかったのに、残念ですぅ……えへ」
へらへらと男が笑うなか、少女はがしゃんがしゃんと音を立てながら去っていった。

終わり。
prev nextbkm
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -