空想的空間に対する俺的考察
「あーつまんねーっす。まじつまんねーっす」
少年とも少女とも取りがたい声が誰に言うでもなく放たれた。
鬱屈とした室内は、換気は充分に為されているはずなのにどこか暗く、林のように乱立した箱が室内の容量を更に下げていた。
部屋の隅のベッドに寝そべりながら、少年、百千十五はうだうだと何か呟いている。
ここ数日、というかここ一ヶ月、十五は学校に通っていない。
必要性を感じないだの、協調的になりたくないだの難癖をつけてフケているのだが、罪悪感というものをこれっぽっちも感じていない。
所謂クズの学生なのだが、十五は出席日数だけは守っており、成績も訳がわからない程に良いため問題はないようだ。
「あーつまんねーっす。なんか良いことないっすかね」
ぼんやりとしながらテレビを付け、ニュースをちらりと見て、すぐさまテレビゲームを繋いだ。
世の中の事情等に鼻から興味は無いのだ。
ゲーム画面がテレビに映り、十五の目は少しだけ生気を取り戻した。
ガチャガチャとコントローラをいじって、ゲームをしていたが、そのうち飽きたのかゲームすら放り出して箱に収納した。
「都市伝説題材のストーリーってもっと捻れないんすかねー。テンプレばっかじゃないすか」
ぐだぐだと文句を言いつつ、十五は紙とペンを引っ張り出す。
「なんなら自分が体験してみればいいんすよ。異世界に迷い混むとか」
ペンが紙の上を走り、目的の形を描いていく。
上から下へ、下から横へ、横から上へ。
そうやって出来上がったのは六角星だった。
その中心に「飽きた」とお世辞にも上手いとは言えない字を書きなぐり、十五は枕の下に放り込んだ。
「大体ああいう製作はわかっちゃいねえんすよ。行ったこと無いからあんなてっきとーに異世界書いてるんす」
独り言をぼそぼそと呟き、十五は布団に潜り込む。
異世界に迷い混むこと位なんてこと無い、そういった確信めいたものが彼にはあった。
なぜなら、彼は今までに4回程、此方ではない世界に迷い混んで戻ってきているのだ。
今回のおまじないも、どこかで読んだものだが、何が起こるかは調べていない。

翌日、適当な時間に起きて、十五は枕の下から昨日の紙切れを探した。
が、無かった。
無かった、というより変わっていたのだ。
「切符……すかね?」
見たこともない行き場所が書かれた切符が、昨日の紙切れの場所に落ちていた。
とりあえず、切符だけでは使いようが無いので、十五は身支度をして、近場の駅に向かった。
ラッシュアワーもちょうど過ぎており、人気の少ない駅は少々不思議に見えた。
とりあえず切符を買った振りをして、駅の改札機に向かう。
荷物は殆どがゲームだが、十五にとってはこれ以外必要ない。
改札機に切符を通した。
これがダメなら切符は押し戻されるはず。
切符は、あっさりと通った。
切符を受け取り、電車に向かって走る。
嫌に人気のない電車だったが、気にせずに座った。

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