寛容にはなれない
涅槃は電話をかける。
少し使いすぎたが、普段使わない為、この機会に使っておくのが一番な気もする。
相手はNECTER過激派の筆頭、荒神雷蔵である。
かなり前に電話をかけたのだが、留守を決め込んだことが少し気障りだが、事態が事態なのでかけてみる。
数コール程度のところで相手が電話に出る。
涅槃は苛立ちに任せて詰問する。
「……忙しいのはわかりますけどねぇ?」
ついつい口角が上がる。
しかし、目は笑っていない。
「言い訳はいいので早いところ来てくださいねぇ……事態は結構深刻なんですよぉ」
えへへ、と笑いながら涅槃は少し立ち止まる。
後ろからついてきていた憂がぶつかる。
そのせいでバランスを少し崩すが、涅槃は気にせずに続ける。
「……貴方のことだから他のことに現を抜かしてたんでしょうねぇ……此方大変なんですよぉ」
半ば愚痴である。
相手から電話を切られた為、此方も電話を切る。
慌てた調子だった。
もう少しで此方に来るだろう。
涅槃は足早に搬入口に向かって歩いていく。
ところどころで監視カメラが破損しているのが目についた。

続く
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