機械の乙女と奇形の男
古式は人間を視界にとらえていた。
情報の収集はなかなかに楽しい。
人質とはこういう状況か。
等と普通の人質とは全く違う心境である。
古式はある意味人間よりも機械に近かった。
機械のように記録だけを能としており、彼女の思考はほとんどが記録、情報収集、それからアウトプットにだけ向いている。
それは味方の危機的状況であろうと変わりはなく、むしろ加速する。
視界にとらえているのはけたけたと笑うはいじま涅槃とそのクローンだ。
クローンの表情は少し視界が悪く、あまりわからない。
涅槃は相も変わらず笑っている。
そういう人間なのは知っているので別に気には止めない。
悟が少し不満げだが、何かあったのだろうか。
最高傑作だと涅槃が称していたあの男は他とは少し違うような気がする。
直立不動で動かない他のクローンはなんだか人形のように見え、すこし滑稽だ。
古式はカメラのように状況を記録する。
ゆっくりと、視界を変えれば、涅槃は笑っている。
あと何分で死ぬだろうか。
それは情報にない。
涅槃がにい、と笑う。
「残念でした!!」
大音声。
古式はこういった情報もあるのかと笑った。

終わり
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