花色可憐
黄泉坂御影は歪曲したパイプ椅子を引いて立ち上がる。
夏の終わりかけを感じさせる、何処までも高い青空が目に入る。
教室内では文化祭を控えて、様々な大道具がひしめき合っている。
先程まで御影は花紙を折っては開く作業を繰り返していた。
ステープラーで折り畳んだ花紙を挟み込み、針で固定する。
固定された花紙を乱雑に、花型に見えるように開いていく。
ただそれだけの作業をかれこれ数日間続けている。
装飾用はようやっと揃ったのだが、予備を数個揃えていたのだ。
「んー疲れた!」
ポリ袋に大量に詰め込まれた紅白の花を装飾場所に持っていく。
周囲はいまだに段ボールを切り刻み、色をつけたりと、作業の追い込みをしている。
三年生ともなれば全員が文化祭に慣れており、手際も良いのだが、授業の為に教室を片付けるせいで作業の初動は遅い。
御影は教室の外の装飾に取りかかる為、教室のドアを開ける。
教室の空気から、廊下へと空気が入れ替わる。
狭い空間の空気と広い空間の差を体感し、御影はにこりと微笑む。
「さてと!準備しないとね!」
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