お手軽背徳感
最近物を無駄に浪費することが増えた気がする。
まだ少しだけ残っているジャムをそのまま捨ててしまったり、まだ使える鉛筆をどこかにやってそのままにしてしまったり。
些細な出来事だが、最近自分のそういった行動がやけに気になってしまう。前までこうだっただろうか。
きらりと光る銀色のバターナイフが賞味期限切れかけのマーガリンを削り取る。
少しだけ残っているが、これも賞味期限が明日には切れてしまう、捨ててしまおう。
体調をくずすというわけではないが、マーガリンは非情にもさらりと捨てられる。少しだけ変な気持ちだ。
「君も食べる?俺の食いかけのあまりだけどさ」
返事はない。
いや、当然だ。
彼女の首はざっくりと切れている。
死んでいるのだ。
鮮血を垂れ流すようなことはない冷たい死体に話しかける様子は奇怪だが、これはさして珍しいことではない。
「まあいいや。どうせ一人分しかないしね」
少し冷め気味の食パンはそこそこに美味しかった。
ああ、彼女にも分けてあげればよかったかもなあ。
少しだけの後悔と自責の念、こういった刺激が毎日欲しくなる。
お手軽に背徳感を味わえる現代は面白い。

終わり。
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