それだけのこと。
「どうなさいました?もしかしてまだ喉乾いてます?」
ペットボトルの水をかけながら、僕は笑いながら問いかける。
僕だって馬鹿じゃあない。
そんなことをこの人が求めていないことくらいすぐにわかる。
しかし、やめるようなことはしない。 「答えてくださいよぅ、先生」
飽くまでもいつもの転坂恭助を貫き通して僕は言う。
馬鹿のような口調を崩さずに語りかけるのは少々骨が折れるが、常日頃からしていることなので問題ない。
「な、どうして」
自分の尊敬する人の口から出る声は水を被り咳き込んだ直後だからか、ややかすれており、更に咳き込んで侵入した水を吐き出そうとする。
そんな様子を笑いながら見るのが心底楽しかった。
ただそれだけのことなのだ。
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