「なーあおい」
「ん?なに?」
「勝負しようぜ!!勝負!!」
『キラキラ』幼なじみの田島悠一郎から出された、突然の開戦宣言。
「勝負?…って、何の」
すると悠は、うーんと首をひねる。
考えて無かったんかい。
「んんーとね…キラキラしたもん見つけんの!!」
「キラキラ?」
例えばどんな?って聞こうとした時には、悠は走り出していた。
「今から1時間な!ゲンミツにオレが勝つ!!」
そう言うと、あっという間に視界から消え去った。
…相変わらず元気だなぁ…
おっと、こうしちゃいられない。
私だって、(一方的に押し付けられたとは言え、)負けるわけにいかないからね。
――1時間後。
悠が指定した集合場所は、私の家の近くにある、雑木林の前だった。
「キラキラしたもん、見つけてきたか?」
「もちろん!いっぱい見つけたよ!!」
写メ撮って、ちゃんと証拠まで残してきたんだから。
「よーし、じゃあ結果発表だ!!あおい、お前からな!」
「はいはい。まずはね…」
私は、写真を悠に見せる。
ガラスのコップに入った、氷水。
小さい頃おばあちゃんと遊んだ、ビー玉やおはじき。
小学生の時よく集めてた、綺麗な石。
趣味でよく使う、ビーズやスワロ。
雨上がりの水たまりや、川面に映った日の光は、我ながらよく撮れたと思う。
悠はさっきから、スゲースゲーと言いながら写真を眺めている。
「さっ、じゃあ次は悠の見せてよ」
ケータイをパタンと閉じて言うと、悠はニッと笑った。
「よっし!ついてこい!!」
私の手を掴み、雑木林の方へグイグイ引っ張っていく。
「え、ちょ…ど、どこ連れてく気!?」
「いーからいーから!黙ってついてこいよ、オレが道作ってやっから!!」
そう言うなり、雑木林に突っ込んで行く。
私は手を引かれるままに、悠の後から雑木林に入っていった。
手入れされてない雑木林の中。地元の人も入ろうとしなかったし、勿論私も入ったことはなかった。
鬱蒼と繁る木々や草の中に、どんな"キラキラ"があるの…?
「――ついたぁーっ!!」
10分ほど草木を掻き分け、到着したのは…
「…まだ雑木林の中だし!?」
どこがキラキラよ!!
思わずツッコむ。
「ちっげーよ!!この草んとこ抜けたら、あるんだよ!!」
よく見ると、草を透かして、光が射し込んでいる。
「早く見てよ、オレの見つけた"キラキラ"!!」
そう言われて、草むらをかき分け外に出ると…
「――うわあっ、スゴイっ!!!」
雑木林が途切れ、私たちは小高い丘の上に立っていた。
涼しい風が通り抜ける。
眼下には地元の町並みが広がり、遠くにはぼんやりと山が見えている。
そして…
山々の間に今まさに沈もうとしている太陽の光が、キラキラ 光って……
「キレイ…」
思わず呟く。
「いートコだろ?」
悠が自慢気に言う。
「小さい頃探検してたら見つけてさ。何回か来てたんだけど、いつか大切な人と一緒に来よーって決めてたんだ。」
「え…」 いつもの明るい笑顔と違う、優しげな笑顔にドキッとする。
「……ありがと、悠」
私もつられて笑顔になる。
「あ!"キラキラ"みぃーっけ!!」
「え?」
また何か見つけたの?
「あおいの笑顔!!」
「…は?」
「太陽なんかより、オレにはずぅーっとキラキラだよ!!!」
「…っっ//」
……あぁ、負けたなぁ……
ニヒヒっとイタズラッ子のように笑う悠に、惚れ直してみたりして。
(…悠の笑顔も、キラキラだよ)
「なぁ、またこよーな、2人で!!」
キラキラ―いつまでも、キミと一緒に。
【後書き】
…という名の言い訳←
おはようございます。
短編『キラキラ』、いかがでしたか。
…え、駄作?
そんなの分かってますけど
何か!?ところでこの話、最初は
『夕陽が水平線に沈んで…』
的な感じにしたかったんですけどね。
だいぶ書き進めてから気付きました。
…ん、あれ?
……埼玉、海ねぇじゃん!!!!!(気付くの遅い)
あーぁ…海…逝きたかったなぁ〜…(←
埼玉のバカヤロー!!!!!(←自業自得)
皆さんは気を付けて下さいね!!(←何を
それでは、失礼致します。
2011.8.3