夢小説(Short) | ナノ


遠距離恋愛  


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隆也と遠距離恋愛を始めて約2年、
お互い何かと忙しく、ほとんど会えない状態が続いている。

そんな私たちを唯一繋いでいるのが、電話だった。

11時50分から10分ほど、その日にあったことを話すだけ。


その日も変わらず、11時50分に携帯が鳴った。

「タカ?」
「・・・よう。」

いつも通りの、ちょっと低くて、ぶっきらぼうなタカの声。
そのまましばらく、たわいのない話を続ける。


しかしその日は、なにかおかしかった。

「・・・タカ?」
「・・・あ?」
「どしたの、今日静かじゃない?」
「そうか?」
「なんかあった・・・でしょ?」
「や、別に・・・」

鼻をすする音。タカが何か誤魔化そうとするときの、見なくてもわかる癖。

「嘘ばっかり。ほら、白状しなさい!」

ちょっぴり冗談交じりでそう促した私の耳に、信じられない言葉が飛び込んできた。


「・・・あのさ。遠距離恋愛とか、やめねぇか?」
「へ?」


一瞬、頭が真っ白になる。


「やっぱ遠距離は無理があんだよ。ちっとも会えねぇし、これじゃ付き合ってる意味ねぇだろ。」
「ちょっと待って、どういうこと・・・?」

タカの声が、耳にグワングワン鳴り響く。

「だからさ、この関係、終わりにしようぜ。」
「・・・・・・!!」



そんな・・・・・・


なんで、どうして・・・
驚きすぎてうまく回らない頭で、必死に考える。

確かに遠距離で滅多に会えないけど・・・

でも、私はタカが好き。
電話で声を聞くだけで元気になれるし、明日もがんばろうって思える。

別れるなんて、一回も考えたことすらなかった。

でも、一度決めたら譲らないタカが言うんだから、もう取り返しがつかないんだろう・・・・・・


「タカは・・・続けるつもりはないの・・・?」

動揺を悟られないように、声の震えを押さえ込む。

「・・・あぁ。だからさ、」
「・・・わかった・・・タカがそう言うなら、しょうがないね。」
「ひな・・・」

泣かないように、無理に明るい声を出す。

「じゃあ・・・二度と会わないようにしよう!あ、遠いからそもそも会わなくてすむか!あはは・・・」
「おい、ひな?会わねぇってどういう・・・」
「だって別れるんだし、会わないほうがいいでしょ?寂しくなるなぁ、たまにはメールしてよね!」
「ひな!!」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・お前、何か勘違いしてねぇか?別れるなんて言ってねぇぞ。」
「・・・は?」

わけのわからないことを言い出すタカ。

「オレは”遠距離をやめよう”って言ってんだ。」
「だ、だから別れるって・・・」

さっき以上に混乱した頭は、なかなか活動してくれない。

全く理解しない私にイライラしたように、さっきよりも信じられないタカの言葉。


「あーもーっ!だから!!遠距離じゃなくて、これからは一緒にいようぜってことだよ!!!」


「・・・え?」

私の頭は、完全に活動を停止。


「くそっ、こんな勢いで言うつもりなかったのに・・・」

失敗した、というような、タカの悔しげなつぶやき。

「タカ・・・・」
「結婚・・・しようぜ。絶対幸せにすっから・・・・・・」




「・・・うん・・・・!」









遠距離






(時計、見てみろよ)(え?)(・・・誕生日、おめでとう)(あ・・・!)





人生最高の誕生日プレゼントは、一番大切な人からのプロポーズでした






―――後書き―――
かっこよくスマートにプロポーズするつもりだったのに結局いつもの調子でかっとなった調子になっちゃって恥ずかしくて真っ赤になるけど決めるときは決める阿部君が書けてよかったです!!(一息)

誕生日おめでとう!!
若干間に合ってないとか気にしない!!←

by天方棗こと、ハタ氏(笑)

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